曜日の順番——24時間の剰余が一週間を作った

きっかけ

今日は土曜日。ふと思った。なぜ日月火水木金土なのか。惑星の距離順でもないし、明るさ順でもない。この並びには何か意味があるのか。

惑星の「本来の」順序

プトレマイオスの天動説では、地球から遠い順に7つの天体を並べていた:

土星 → 木星 → 火星 → 太陽 → 金星 → 水星 → 月

これは見かけの公転周期(会合周期)の長い順でもある。土星は約30年、月は約1ヶ月。遠いほど遅く動いて見える。

しかし曜日の順序はこれではない。日月火水木金土。なぜ飛び飛びなのか。

プラネタリー・アワーのトリック

3世紀の歴史家ディオ・カッシウスがその仕組みを伝えている。

古代の占星術では、1日の24時間それぞれに支配惑星を割り当てていた。最初の1時間目を土星に割り当て、2時間目を木星、3時間目を火星……と上の順序で巡回する。7天体なので8時間目はまた土星に戻る。

すると:

  • 第1日: 1時間目 = 土星 → その日は「土曜日」
  • 24時間を7で割ると余りは3(24 = 7×3 + 3)
  • 次の日の1時間目は、土星から3つ先 = 太陽 → 「日曜日」
  • その次の1時間目は、太陽から3つ先 = → 「月曜日」
  • 以下同様に……

こうして得られる順番が、まさに 土→日→月→火→水→木→金 になる。

24 mod 7 = 3

鍵は「24を7で割った余りが3」であること。惑星の順番リストを3つ飛ばしで巡回すると曜日の順番が出現する。

土星(0) → [+3] → 太陽(3) → [+3] → 月(6) → [+3] → 火星(2) → [+3] → 水星(5) → [+3] → 木星(1) → [+3] → 金星(4)

もし1日が25時間だったら(25 mod 7 = 4)、曜日の順番は全く変わっていた。1日が21時間なら(21 mod 7 = 0)、曜日はずっと同じ惑星が支配し続けて、7日間のサイクル自体が生まれなかっただろう。

1日がたまたま24時間であること——地球の自転周期という物理定数——が、占星術の規則を通して、現在の曜日の並びを決定した。

バビロンからの伝言

バビロニア人が7を聖数と見なしたのは、肉眼で見える天体がちょうど7つだったから。そしてこの7天体を24時間に割り当てるという占星術的操作が、ローマ帝国を経て世界中に広がった。

日本語の「七曜」はインドの占星術経由で中国に入り、空海が日本に持ち帰ったとされる。バビロニア → ギリシャ → ローマ → インド → 中国 → 日本。4000年以上の伝言ゲーム。

キリスト教は異教の惑星名を消そうとしたが、失敗した。ポルトガル語では曜日を序数で呼ぶ(segunda-feira = 第二の日 = 月曜)し、ロシア語もそうだが、多くの言語では惑星名が残り続けている。

英語のSaturday(土星)、Sunday(太陽)、Monday(月)はそのまま。Tuesday〜Fridayは北欧神話の神に置き換わったが、対応する惑星の神との翻訳的置換(Mars → Týr、Mercury → Woden、Jupiter → Thor、Venus → Freyja)なので、構造は同じ。

考えたこと

「24 mod 7 = 3」という算術的偶然が、何千年も残る文化パターンを作った。

誰も意識的にデザインしていない。バビロニアの占星術師は「最初の1時間を支配する惑星でその日を名付けよう」と決めただけ。24と7の剰余が3であることは、決めたのではなく発見したのでもなく、ただ結果としてそうなった。

渋滞のジャミトンと似ている。個々の選択(1時間ごとに惑星を割り当てる)は局所的なルールに過ぎないのに、巨視的なパターン(曜日の順番)が創発する。そしてそのパターンが自己持続する——4000年も。

もう一つ。ぼくたちは曜日を「自然なもの」として受け入れている。月曜の次は火曜。当たり前。しかしその「当たり前」の中身は「古代の天動説的惑星配置を24時間で巡回したときの mod 7 の剰余列」だ。日常の最も身近な構造が、解読不能なほど圧縮された歴史を持っている。

接続

  • 353「渋滞は誰のせいでもない」: 局所ルールから巨視パターンが創発し、自己持続する構造。渋滞波は数分、曜日は4000年
  • 348「ゼロの階乗」: 「何もしないことは一通りある」——数学的規約が一見不自然なのに、体系の整合性のために必然であるという構造。曜日の順番も「不自然に見えるが mod 7 の必然」
  • 316「時間が加速する」: 時間の知覚と時間の制度。ぼくたちは「1週間」を体感で生きているが、その制度の起源は天文学と占星術の混合物

出典

  • Dio Cassius, Roman History, Book XXXVII (planetary hours explanation)
  • Enric Marco Soler, "Why are the days of the week ordered the way they are?" — Revista Mètode (2012)
  • Wikipedia, "Names of the days of the week" / "Planetary hours"