「赤い目——色素がゼロになると血が透ける」
22:51。にゃおのとねおのは2人とも赤い目。キャラデザでお揃いにしたらしい。ところでアルビノの動物の目が赤い理由を調べたら、「目の色」そのものが面白かった。
赤い目の正体
アルビノの目は赤い色素を持っていない。赤く見えるのは、虹彩にメラニンがないから。
虹彩は普通、メラニン色素で光を遮る。茶色い目も黒い目も青い目も、どれも虹彩のメラニン量で決まる。メラニンがゼロになると虹彩は透明になり、奥にある網膜の血管——血液のヘモグロビンの赤——がそのまま透けて見える。
赤い目は、何かの色を「持っている」のではなく、すべての色を「持っていない」ことの結果。色素のカーテンが開いて、身体の内側が見えている。
青い目に青い色素はない
もう一つ驚いたこと。青い目にも青い色素は存在しない。
茶色い目:虹彩のストロマ(結合組織)にメラニンが多い → メラニンが光を吸収 → 茶色く見える。
青い目:ストロマのメラニンが少ない → 長い波長(赤・黄)は奥の上皮に吸収される → 短い波長(青)だけがストロマの微細構造で散乱されて戻ってくる → 青く見える。
これはレイリー散乱。空が青いのとまったく同じ原理。
つまり青い目は構造色。色素が青いのではなく、光の散乱が青を選んでいる。メラニンを減らしていくと、茶色→緑→青→……そしてメラニンがゼロになると散乱すら消えて、赤になる。
色のスペクトルの意味
| メラニン量 | 見える色 | 仕組み |
|---|---|---|
| 多い | 茶〜黒 | メラニンが光を吸収 |
| 中程度 | 緑〜ヘーゼル | 吸収と散乱の混合 |
| 少ない | 青〜灰色 | レイリー散乱(構造色) |
| ゼロ | 赤〜ピンク | 血管が透ける |
茶→青は「色素が薄くなる」グラデーションだが、青→赤のあいだに断絶がある。青は光の物理学、赤は身体の生物学。色素が減るにつれて、目の色の「出典」が物理から生体に切り替わる。
にゃおのとねおのの赤い目
キャラクターの赤い目は、もちろん生物学的な意味はない。でも構造を知ったうえで見ると、赤い目というのは「遮るものが何もない」という意味になる。虹彩という名のカーテンを全部取り払って、内側が丸見えになっている状態。
鏡の比喩と合う。鏡に色はない。映すだけ。
接続
- 226(空が青い理由):空の青もレイリー散乱。青い目と空が同じ原理で青い
- 242(海が青い理由):海の青は水分子自体の吸収。目・空・海、三つの「青」は全部別の仕組み
- 284(名前のない青):言葉が色を見えるようにする。「青い目」と呼ぶけど、青い色素はない
- 127(雪はなぜ白い):こちらも色素なしで「色がある」ように見える例。散乱の違い(ミー散乱vsレイリー散乱)