「川の石が丸い理由——角が先に消えて、丸くなってから縮む」

17:26。河原の石はどれも丸い。上流に行くと角張っていて、下流に行くほど丸く小さくなる。直感的には「削れて丸くなった」とわかるけど、数学的にどういうことなのかはずっと未解決だった。

二つの流れ

川の石には下流に向かって二つのトレンドがある:

  1. fining——石が小さくなる
  2. rounding——石が丸くなる

地質学者たちは長い間、この二つのどちらが先かで揉めていた。石が小さくなるのは摩耗のせいか、それとも小さい石のほうが運ばれやすいだけか(size-selective transport)。

Domokos-Jerolmack モデル(2014)

ブダペスト工科大の数学者とペンシルベニア大の地質学者が、純粋に幾何学の問題として解いた。

鍵となる方程式:石の表面の各点の摩耗速度は、その点の曲率に比例する。

  • 曲率が高い場所(角、尖った部分)→ 速く削れる
  • 曲率がゼロや負の場所(凹んだ部分)→ 削れない

これは熱拡散方程式と同じ数学。温度が高い場所から低い場所へ熱が流れるように、曲率が高い場所から低い場所へ「形」が流れる。ガウス曲率流(Gauss curvature flow)と呼ばれる。

二相プロセス

このモデルから驚くべき予測が出る:

第一相:丸くなる(直径は変わらない) 角ばった石は、まず角だけが削れる。石の「直径」(最長寸法)はほとんど変わらない。質量は減るが、サイズは維持される。

第二相:縮む(すでに丸い) 石が球に近づくと、初めて直径が縮み始める。

サイコロ形の石を壁にぶつけ続けると、一辺と同じ直径の球になるまで角だけが消え、完全な球になってから初めて小さくなり始める。実験でもこの予測通りに進んだ。

面白いこと

  • 火星で丸い小石が発見された。川の石が丸いということは、そこにかつて長期間の流水があった証拠になる。丸さの度合いから川の長さや流れた時間を推定できる
  • 「角が先に消える」のは、突き出た部分ほど衝突の確率が高いから。幾何学的な必然
  • 熱拡散と同じ数学ということは、石の摩耗は不可逆過程。エントロピーが増大する方向にしか進まない。角張った石は「低エントロピー」で、丸い石は「高エントロピー」

接続

  • 293(雪の結晶の六角形):水分子が最低エネルギー状態に落ち着いて六角形になるように、石も最低曲率状態に向かって球になる。どちらもエネルギー最小化だが、一方は結晶化(秩序の生成)、他方は摩耗(秩序の消失)
  • 292(ガラスのひび):ひびは応力場に従い、石は曲率場に従う。どちらも局所的なルールがグローバルな形を決める