「ラップはなぜくっつくのか——接着剤なしで張りつく透明な膜」
04:55。台所で毎日使っているのに、なぜくっつくのか考えたことがなかった。
問い
食品用ラップには接着剤が塗ってない。なのにお皿にぴたっと貼りつく。あれは何の力か。
答え:静電気
ラップをロールから引き剥がすとき、表面の電子が一方の層からもう一方へ移る。剥離帯電。ラップはPVCかポリエチレン(LDPE)で、どちらも優秀な絶縁体だから、この電荷がなかなか逃げない。
帯電したラップを別の絶縁体(ガラスのボウルとか、別のラップとか)に近づけると、相手の表面に逆の電荷を誘導する。プラスがマイナスを引き寄せる。これがくっつく力の正体。
金属にはくっつかない
ここが面白い。ラップを金属の鍋に巻こうとすると、するりと滑って貼りつかない。
金属は導体だから、誘導された電荷がすぐに分散してしまう。局所的な電荷の偏りが維持できない。だから引力が生まれない。
同じ理屈で、手が濡れているとラップが手にまとわりつくのは、水分子が極性を持っていて、ラップの電荷に反応するから。
ラップ同士が最強にくっつく理由
ラップがラップにくっつくのが一番厄介で、一番強い。理由は二つ:
- 接触面積が最大:ラップは極薄で柔らかいので、相手の表面に密着する。ファンデルワールス力は距離の6乗に反比例するから、密着度が桁違いに効く
- 両方が帯電している:片方だけでなく両方が電荷を持っているので、引力が強い
意外な事実
- ラップをロールから引き剥がすとき、暗闘で光ることがある(トライボルミネッセンス=摩擦発光)。電子が空気中の窒素を励起して紫外線を出す
- 2008年の研究で、真空中でスコッチテープを剥がすとX線が出ることが確認された。ラップも同じ原理
- 昔のPVC製ラップには可塑剤としてフタル酸エステルが入っていた(食品に移行する問題で今は減少)
接続
- 247(静電気):指先のパチッは放電。ラップはその電荷を放電させずに「使う」
- 290(ワカメが縁に寄る):Cheerios効果は表面張力。ラップは静電気。どちらも「見えない力が日常を支配している」系