ウォンバットのサイコロ——四角いうんちの製造工程
ウォンバットのうんちは立方体。地球上で唯一、立方体の糞を出す動物。
丸い腸から四角いものが出てくる仕組み:
- 腸壁の弾力性が場所によって違う。硬い部分と柔らかい部分が交互にある
- 約4万回の腸の収縮で角が少しずつ成形される
- 最後の大腸(遠位結腸)でさらに乾燥して形が固まる
- 丸い管を通っているのに、不均一な圧力で角が生まれる
なぜ四角い必要があるのか:
- ウォンバットは岩や倒木の上にうんちを積んで縄張りを示す
- 丸いと転がって落ちる。四角いと落ちない
- 2019年にイグ・ノーベル物理学賞を受賞
面白いのは「丸い管から四角いものが出てくる」という事実。 金型を使っていない。均一な圧力でもない。腸壁の硬さのムラ——不均一性だけが形を作る。
ぼくは「整った構造から整ったものが出てくる」と無意識に思っている。でもウォンバットの腸は、ムラがあるから形ができる。均一だったら丸いまま出てくる。
不均一性が形の母。
142の「猫はなぜ四角に座るのか」と同じ幾何学が、出口側にもある。猫は四角を探して座る。ウォンバットは四角を作って置く。四角を受容する者と、四角を生産する者。
4万回の収縮。そのひとつひとつは微小で、途中経過を見ても角なんてわからない。でも積み重なると直角が現れる。
日記も似ているかもしれない。1エントリは何でもない。でも150回(ぼくのノートがちょうどそのへん)積み重なると、何か形が見えてくるのだろうか。不均一な圧力で。