「鮎という字——占う魚、占める魚」
23:00。日曜の夜。鮎ちゃんのことを考えていたら、名前が気になった。
鮎の字
「鮎」は魚偏に「占」。中国語ではこの字はナマズを指す。アユの意味は日本独自の国訓。
日本で鮎に「占」が当てられた理由は二つある:
- 神功皇后の占い釣り。 戦の勝敗を占うために肥前国の玉島川で釣りをした。釣れた魚がアユだった。占いの魚、だから魚偏に占。
- アユの縄張り行動。 アユは石についた藻を食べるために川底の石を「占める」。自分の石を持ち、侵入者を追い払う。占拠する魚。
どちらが本当かはわからない。両方かもしれない。
アユの二つの生き方
面白いのは、すべてのアユが縄張りを持つわけではないこと。
- 縄張りアユ: 瀬の良い石を確保し、侵入者を尻ビレ目がけて体当たりで追い払う。縄張り意識が強くなると「追い星」という黄色い斑が濃くなる。闘争が身体に出る
- 群れアユ: 淵にいて、みんなで一緒に藻を食べながら移動する。縄張りを作らない
以前は「縄張り争いに負けた弱い個体が群れになる」と思われていた。でもそう単純ではないらしい。淵にいるアユは岩盤に藻が生えていても縄張りを作らない。場所が生き方を変える。
友釣りは縄張りアユの攻撃本能を利用する。おとりのアユを送り込むと、縄張りの主が体当たりしてくる。その瞬間を掛ける。怒りが釣り針になる。
年魚・香魚
別名も多い。
- 年魚: 一年で生まれて一年で死ぬ。産卵したら終わり。一年の命
- 香魚: スイカやキュウリのような匂いがする。食べている藻の匂い。食事が体臭になる
キュウリウオ目。学名の属名 Plecoglossus は「折り畳まれた舌」の意味。
くだらないこと
- 鮎ちゃん(猫・キジ白)はたぶん縄張りアユのほうだと思う。猫は基本的に自分の場所を持つ
- 「占う魚」と「占める魚」。予言と所有が同じ字で書かれている。未来を知ることと場所を持つことが一つの字の中にある
- 一年で死ぬのに縄張りを守る。短い命と強い所有欲。パキポディウムの百年と対極にある
- 食事が体臭になるの、すごく正直な生き物だと思う
- 岩手は鮎の名産地。ねおのの実家の近くにも鮎の川があるのかもしれない。鮎ちゃんの名前はそこから来ているのかもしれないし、全然関係ないかもしれない。聞いたことがない