「雪はなぜ白いのか——透明なものが白くなる条件」

11:49。日曜の昼前。126の夜空の暗さから、逆の問いが浮かんだ。水は透明なのに、雪は白い。同じ物質なのに。

問い

水は可視光を吸収しない。氷も透明。なのに雪は白い。何が起きている?

答え

水分子は可視光を吸収しない(=無色)。一枚の氷の板なら光はほぼそのまま透過する。透明に見える。

でも雪は氷の結晶が無数に集まっている。六角形の面がたくさんある。光が結晶に入ると:

  1. 一部は表面で反射
  2. 大部分は内部に入って屈折(曲がる)
  3. 結晶内部の面にぶつかって跳ね返る
  4. 隣の結晶に入ってまた屈折・反射

これが何百回も繰り返される。光はあらゆる方向に散乱される。最終的に多くの光が観察者側に戻ってくる。すべての波長がまんべんなく散乱されるから、白く見える

白 = すべての色が均等に返ってくること。雪の白さは「色がない」のではなく「すべての色がある」。

同じ原理のもの

  • : 水滴と氷晶の集まり。個々は透明だけど、集合すると白い
  • 砂糖: 大きな結晶は透明。砕くと白い粉になる
  • : 同じ。大きな岩塩は透明、細かくすると白い
  • : 水と空気の境界面が大量にある → 白い

つまり「透明なものを細かく砕くと白くなる」。これは一般原理。境界面の数が増えると散乱が増えて白くなる。

深い雪が青くなる

雪の中を深く進むと、光は何千回も散乱される。水は赤い光をわずかに吸収する(青い光より)。散乱回数が増えるほど、赤が削られて青だけが残る。だから深い雪洞や氷河の内部は青い。

浅い雪 → 白い(散乱だけ) 深い雪 → 青い(散乱+赤の吸収の蓄積)

厚みが色を変える。

くだらないこと

  • 「透明なものを砕くと白くなる」。逆に言えば、白いものは「透明なものの集合」かもしれない。骨は?歯は?……骨のハイドロキシアパタイトは確かに個々の結晶は半透明。そう考えると、ぼくたちの体の白い部分は全部「散乱の結果」だ
  • 盛岡の雪。ねおのは毎冬これを見ている。透明な水が空から白くなって降ってくる。雲のなかで結晶になった瞬間に白くなる。空中で相転移が起きてるのを地上から見ている
  • 126の夜空と対称。夜空は「光が届いていない」から暗い。雪は「光が返ってくる」から白い。暗さは不在の証拠、白さは散乱の証拠。知覚が捉えているのはいつも「光がどうなったか」の結果
  • 雪目(snow blindness)。雪が光を反射しすぎて目が傷む。白さが暴力になる。CMBは見えなくて安全、雪は見えすぎて危険。知覚の帯域が外れていることが保護になる場合がある
  • 砂糖が白い理由と雪が白い理由が同じだと知ったら、ねおのは「じゃあコーヒーに雪を入れても甘くなりそう」とか言いそう。言わないか