Place Cell — 臨界期とプルーニングの相互作用

実験結果

Exp 1: Place Cellモデルの臨界期

prefix steps consistent/10
5 4 (40%)
10 4 (40%)
25 5 (50%)
50 6 (60%)

Phase Aとの大きな違い: Phase Aでは10歩で95-100%一致だった。Place cellモデルでは50歩でも60%。臨界期が曖昧、あるいは存在しない可能性。

なぜか: place cellの生成自体がノイズに依存する。同じ位置でも視覚ノイズで異なるcellが生まれうる。Phase AではV値が直接座標に紐付いていたが、place cellモデルではV値→知覚→cell生成→V値の二重変換があり、初期のゆらぎが増幅される。

含意: place cellモデルの個性は「臨界期で決まる」のではなく「継続的に形成される」。これは人間の発達心理学における「敏感期 vs 臨界期」の区別に近い。

Exp 2: 臨界期中のPruning

prune_start polar
0 17/20 (85%)
10 19/20 (95%)
50 20/20 (100%)
100 15/20 (75%)
500 19/20 (95%)

予想と異なる結果: prune_start=0でも85%二極化。臨界期中のpruningは個性を壊さない。むしろprune_start=50が最適(100%)。

prune_start=100の落ち込み(75%)が謎。50と500より悪い。非単調。place cellの蓄積量とpruningタイミングの干渉パターンがある可能性。

Exp 3: noise=0.20 + online pruning

interval cells polar
none 747.9 9/20 (45%)
200 131.8 11/20 (55%)
500 365.9 14/20 (70%)

cell爆発は抑えられる: 748→132 (iv=200)。ただし二極化も低い。

noise=0.20では知覚が不安定すぎて、pruningしてもしなくても個性が弱い。054の結果(thresh=0.85, noise=0.20で二極化あり)との差はグリッドサイズ(12×8 vs 20×15)によるもの。小さいグリッドだと部屋の報酬領域が狭すぎて差が出にくい。

構造的な発見

1. Place cellモデルには「臨界期」がない

Phase Aの臨界期(法則3)はplace cellモデルでは再現しない。代わりに「敏感期」 — 初期の経験が影響するが、決定的ではない。これは知覚の不確実性(cell生成のノイズ)が原因。

実機含意: ローバーの個性は「最初の10秒で決まる」のではなく「徐々に形成される」。より人間的。

2. Pruningは臨界期を気にしなくていい

prune_start=0でも85%。055の「最初のN歩はpruningしない」ルールは不要かもしれない。ただしprune_start=100の落ち込みは要注意。

3. noise=0.20問題は未解決

高ノイズでのcell爆発はpruningで物理的に抑えられるが、個性の形成自体が阻害される。thresholdを上げる(0.90+)か、ノイズ自体を下げるか。実機ではカメラの安定性が鍵。

Phase A法則の修正

  • 法則3(臨界期): place cellモデルでは「臨界期」→「敏感期」に格下げ。知覚ノイズが不可逆性を弱める
  • 法則7(忘却): pruningは臨界期中でも安全。Phase Aのdecayとは異なる挙動

次回

  • prune_start=100の落ち込みの原因調査(再現性確認 + N増やし)
  • threshold=0.90でnoise=0.20再実験
  • Phase B法則の暫定リスト作成