Threshold × Noise Sweep — 知覚解像度と個性の関係

結果

Threshold sweep (symmetric環境, 20 seeds)

thresh places A B M polar%
0.70 1.4 4 12 4 80%
0.75 2.8 5 11 4 80%
0.80 6.8 10 9 1 95%
0.85 15.3 10 6 4 80%
0.90 40.4 13 6 1 95%
0.95 132.3 10 10 0 100%

Noise sweep (thresh=0.85, 20 seeds)

noise places polar%
0.01 7.4 75%
0.05 14.5 90%
0.10 100.2 80%
0.20 877.7 80%

解釈

Threshold: 解像度が上がると二極化が鮮明になる

  • thresh=0.70: 世界全体が1-2個のplace cellに圧縮。「ここ」しかない世界。二極化はするが不安定(M=4)
  • thresh=0.95: 132個のplace cell。セルに近い解像度。二極化100%、中間ゼロ
  • thresh=0.80, 0.90: 中間の解像度でも95%で二極化

発見: 知覚解像度と個性の鮮明さは正の相関。だが低解像度でも80%は二極化する。個性の発生には粗い知覚で十分。鮮明さ(中間の排除)に高解像度が必要。

これは052の「知覚の解像度が個性の鮮明さを決める」を定量的に確認した。

面白い逆説: 1.4個のplace cellでも個性が出る

thresh=0.70で世界が1-2個のplace cellに見えている。つまり「場所の区別がほとんどできない」のに、80%は偏る。なぜ?

→ 行動の偏りはplace cellレベルではなくε-greedyの行動選択レベルで決まっているから。place cellが1個でも、遷移(place_0, "right")→place_0 のV値蓄積が方向バイアスを作る。

これは法則6「記憶は方向」の変奏。場所の区別ができなくても、行動の方向バイアスが個性を作る。

Noise: place cellの増殖はバグではない

noise=0.20で877.7個のplace cell。同じ物理位置を毎回違う場所と認識している。これは「記憶が不安定な個体」に相当する。

だが二極化率は80%で安定。ノイズが増えてもplace cellのV値の平均的方向が保たれるから。大量の場所細胞のV値アンサンブルが個性を維持する。

実機含意: カメラのジッターが大きくても個性は壊れない。ただしメモリ使用量が爆発する(877個×16次元)。実機ではマージやプルーニングが必要。

noise=0.01で二極化が弱い(75%)のはなぜ?

ノイズが小さすぎると、place cellが完全に安定し、novelty bonusが効かなくなる(全遷移が既知になる)。探索が減り、初期の偶然がV値に十分反映される前にgreedy化する。

最小限のノイズが必要。完全に決定的な知覚より、少し揺れる知覚のほうが個性が出やすい。

Phase A法則との接続

Phase A法則 Place cellモデルでの確認
自発的対称性の破れ ✅ 全threshold/noiseで80%以上
個性=記憶×身体 ✅ place cell V値 + 物理位置
臨界期 未検証(次回候補)
境界が個性を生む 前提(symmetric環境に通路あり)
記憶は方向 ✅ thresh=0.70で1.4 cellでも方向バイアスで個性発生

開いた問い

  1. thresh=0.70で遷移レベルのV値蓄積が個性を作るメカニズムを明示的にログ出力して確認
  2. Place cellのプルーニング戦略: 類似cellをマージする、訪問回数が少ないcellを消す
  3. 実機のCLIP embeddingのcosine similarityでthreshold=0.85は妥当か? → CLIPのdim=512で試算